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「Dropbox→OneDrive→Dropbox」。OneDriveへ移行した私がDropboxとの併用に戻した理由

2020.5.25

まとめ

 Dropboxを長らく利用していたが、Microsoft 365(旧Office365)のサブスクプションを購入したのでOneDriveへ全面移行してみた。だがどうも不可解な挙動が多くて日常的な使用において「気が散って」しかたがない。1テラバイトのOneDriveは「外付けHDDの代わり」として定期的にどさっとファイルを保存する場所とし、日常的な利用はDropboxに戻した。やはりDropboxの方が総じて軽快かつシンプルだ。死語となりつつあるが「ユビキタス」なサービスほど、意識せずに動作してくれるほうが良い。要するに、OneDriveは世話が焼ける。

はじめに(背景と経緯)


近代的な情報整理システム、カード式
Old School Card Catalogue, ca. 1967
※写真はイメージです

 Office365がMicrosoft 365に名称を変更してすでに2カ月ほどが経つ。名称が変わっただけでサービス内容は変わらないというのがマイクロソフトの主張だ。とはいえ「Office Suite(オフィス用製品群)」から社名を冠すサービス名へと変更したことは、単なる商品名の変更ではなく、将来的にこれがWindowsを含むマイクロソフトの統合的基幹商品となっていくのであろうことが容易に想像される。

 しかしMicrosoft 365のオンラインサービス群はデスクトップアプリケーションとの統合的運用において、不可解な挙動が多い。商品の質が低いわけでは当然ないのだが、チクチクするような「きになる点」がついて回る。要するに、スッキリしないのだ。

 オンラインストレージサービスである「OneDrive」の話をここではしたい。OneDriveはMicrosoft 365を有償利用していれば1TBの容量を利用できる。1TBはなかなか魅力的な容量だ。私はこれまで1TBと2TBの外付けHDDを使っていたのでそれらを使わなくて済むし、HDDの故障とも(とりあえずは)無縁となる。いいことづくめといっていい。

 私はそうした外付けHDDと併用する形で、これまで「比較的軽量なファイル」はDropoboxにデータを保存していた。Dropboxに置くファイルは現在進行形の仕事のデータや参照頻度・更新頻度の高いファイルだ。オンラインでの共有を要する一部のファイルもこれに含まれる。

 OneDriveを利用していなかったのは、Officeの「永続ライセンスモデル」を使っていたからというだけの単純な理由なのだが、PC自体を5年ぶりに新調したことで思い切って永続ライセンスのOffice 2016からMicrosoft 365へと乗り換えた。OneDriveが「おまけのように付いている」というだけの理由で、DropboxからOneDriveへと変更を試みたわけだ。

OneDrive生活


Der Bücherwurm (The Book Worm)
by Carl Spitzweg, circa 1850
《本の虫》カール・シュピッツヴェーク
※本だけでなく記録媒体を多く持つ愛書家は常に存在する

 OneDriveの利用初日、それまでDropboxに保存していた1GBほどのデータをフォルダの階層構造はそのままOneDriveへ保存しなおした。ファイルの重複や最新版が行方不明になることを防ぐために、Dropboxのリンクは解除し、アプリケーションはアンインストールした。後顧の憂いはないはずだった。

 次にOneDriveへ合流させる重量級のフォルダを選んだ。これまで外付けHDDに保存していたファイル群で、利用頻度は低い。選んだのは直近の写真のデータ。以前の仕事のファイルや音楽、動画のデータは後回しにした。容量は約18GB。

 回線はケーブルテレビのものなので、「上り」スピードもそれほど遅くはない。だがアップロードにはだいぶ時間がかかり、日が暮れた。たった18GBで日が暮れるのだから、数百GBのアップロードをまとめて試みようものならどうなっていたことか。しなくて正解。

 OneDrive生活がはじまって気になったのが、同期完了にやたらと時間がかかることである。不可解を通り越して不快になる。数KB程度の文書ファイルを上書き保存するにも妙に時間がかかる。ファイルのアップロードだけでなく、同期に関するバージョンチェックなどをしているのだおるか。保存されたファイルがWordやExcelである場合、それらのOnline版との整合性を取っているのだろうか。

 その点、Dropboxは軽快であった。PC(Macbook Air)を開けば、同期中を示すアイコンはわずかな時間だけ点灯するが、即座に沈黙する。この静けさがよい。同期中アイコンがついていると、心がざわついて落ち着かない。PCに向かって仕事を開始する気分になる。穏やかな集中力を邪魔しないのがDropboxのよいところだ。

 残念ながらDropboxの他のツールには、いまひとつ使い勝手の良さを感じない。Officeのオンライン版も同様だ。Officeはデスクトップ用のフルサイズのアプリケーションと同等の機能・使い勝手を期待してしまう。「オンライン版だから機能が制限されている」というのは理解できるが、やはり「あれができない、これができない」と落胆してしまう。しょせんは「コンパクトエディション」なのだ。ないものねだりに過ぎないのだが、そうであれば「始めから最低限のことしかできない」方がよい。

 唐突に比較して申し訳ないが、やはりこの点でOfficeのオンライン版はGoogleDocsには敵わないのだ。一方で、ストレージサービスとしてのGoogleDriveからは、私は今のところ、それほど使い勝手の良さを感じたユーザー体験を得られていない。ゆえにGoogleDriveは利用をやめた。

「ファイル実体」


Books, Book Decor, Book Crafts
ファイル実体の置き場とは、単なる仮想書架であればよい
※写真はイメージです

 文書ファイルは、フレーム(アプリケーションが認識する枠組みデータ)とコンテンツ(内容データ)で構成されている。これは物理メディアでいうなれば「紙」と「書かれた文字」に対応している。

 OneDriveがOfficeオンライン版と連携していること自体はすばらしいのだが、PC(デスクトップ版)で作ったOfficeのファイルをOneDriveへ保存すると、その「ファイル実体(Entity)」からコンテンツ部分が抜き出されてオンライン版で開けるようになっているように感じる。OneDriveはここにデータ同期と履歴情報の抜き出しに関する処理に「重さ」があるのではないかと私はにらんでいる。

 だが、その連携がスムーズかと聞かれると、iOSアプリ版とPCでのブラウザ版との相互的な行き来には、妙な引っ掛かりがある。すでにファイル保存の時間差でデータがコンフリクトしたことも1度ならずある。AutoSaveが中途半端なのではないか。紐づくすべてのデバイスが常時オンラインとは限らない。その時間差で生じるコンフリクトをうまく解消できないまま「copy」ファイルが生成されるのは解せない。

 Dropboxでもファイルバージョンの枝分かれ現象はゼロではないが、私が感じていた範囲では、もっとスマートだった。やはりアプリケーションのオンライン版とデスクトップ版、そして特にiOSアプリ版を行き来するユースケースにおいては、「ファイル実体」を無闇にいじくらない方がいいのではないか。「ファイル置き場」に特化している限り、Dropboxが軽快で、OneDriveより分があるのは自然ななりゆきだろう。

 この点ではAppleのiCloudも成功しているとは言い難い。Pages、Numbersは、それらのデスクトップ版アプリケーションの使い勝手もさることながら、iCloudを通じた同期にもそれほど感動をおぼえなかった。よりシームレスな使い勝手が実現されてほしいものである。Handoffは素晴らしい機能だが、アカウントひとつでされたくない連携までされそうで怖さがある。後ろめたいものが私にあるのだろうか。

 アプリケーションのクラッシュに遭遇する確率を「事故率」と表現するならば、Microsoft Officeの事故率はまあまあ高い。だからこそ保存頻度を高めることが重要というのは、PC使用歴が高い人ならば体験的に学習していることだ。Saveという概念が存在しないGoogleDocsは、やはりこの点で革新的だったのだ。

 ならばGoogleDocsだけで仕事ができるかというと、そうとはならない。いずれはそうなる可能性は高いが、いまはまだMS Officeへの依存度の高い社会だからだ。アプリケーションという「枠組み」がガチガチに堅いMS Officeからいかに脱却し、より軽快かつコンパクト、それでいてユーザーの期待する「表現力」を実現するツールの誕生が望まれる。

 とはいえ、それをできるメーカーがGAFA+Mを筆頭としている点で「いまと同じ」なのかもしれないが。IBMやOracleにこれらのことは望めない。彼らはすでにこの分野での失敗者であるからリベンジはしないだろう。Salesforceは技術と資金の両面でこの分野に参入可能な体力があるだろうが、彼らがMicrosoftの牙城にわざわざ破城槌を打ち込む理由がない。DELLやHPといったメーカーはどうか。彼らにもOffice Suiteを開発する必要性がない。それは自動車メーカーが道路敷設をしないのと同じようなもの。


図1 何も言わずにこの画面になってほしい


図2 OneDriveは何を頻繁に同期しているのか


図3 しまいにはファイルが3つに分裂してしまった

Dropboxへの回帰

 さて、私はそんなこんなでOneDriveの同期によって「心の平穏が掻き乱される状況」を改善しようと試みた。手段はDropboxへの回帰である。

 私は社会人になっていらい「ポケット1つの原則」を重視している。ひとがモノを紛失するのは、「置き場や入れる場所(ポケット)」がいくつもあるからだ。入れ場所が「1カ所」しかなければ、モノを探す頻度は激減する。「ない、ない」とモノを探すことに時間を費やすのは人生のロスである。置き場は1つ。そこになければどこにもない。失くしたのだと決めている方がよい。

 というわけで、私にとってそもそもストレージの併用は本意ではない。だがそれ以上に私は貧乏性であっていけない。OneDriveの1TBを使わないのは「もったいない」と思ってしまっているのだ。どうにか活用できないか。

 OneDriveとDropboxの併用において、私が取るべきアプローチは1つしかない。「使うファイルを集めてある手元」と「長期保管場所」の2つに分けるほかない。長期保管場所をOneDriveとし、手元の仕事場をDropboxとすれば、不定期的な「片付けタイミング」にだけOneDriveへのデータアップロードを行えばよくなる。これならば外付けHDDへ定期的にデータを格納し、手元の環境をスッキリさせていた旧来からの働き方を変えずにすむ。ストレスフリーである。

 外付けHDDは2TBの製品を1万円くらいで購入したように記憶しているので、今後は外付けHDDの新規購入をやめ、OneDriveだけ使えば差額は吸収できるだろう。Microsoft 365は、毎年払う税金のようなものだと思うことにする。納税する以上はサービスは使い倒し、還元率を自主的に高めていくほかない。文字通り、OneDriveはストレージとして利用する。リアルタイム性の高い同期には使わず、そのような機能も期待しない。

 次にDropboxは「Recent」として使う。メインの仕事場である。日々の同期とバックアップにはDropboxを使用する。PCは究極的には入力と操作、表示のための機器にすぎない。その点でいえばThin Clientこそが私のPC利用スタイルなのだともいえる。PCを持たずに移動できればそれでいい。とはいえ、まだまだPC自体を持ちあるく必要性は高いのが現場だ。

 もう1つDropboxに入れておくものがある。更新頻度は低くても、参照頻度の比較的高い「Permanently」なファイルである。これらもDropboxに入れておく。

 高信頼性を誇るクラウドストレージといえども100%の安全保証はない。ローカル環境とオンライン環境、うまく使い分けていいPCライフを送りたいものだ。全体的にオジさん臭のする文章になってしまったことは反省する。


図4 Login ItemからOneDriveを除去する。これからは任意のタイミングで起動して同期することにする