もし『鬼滅の刃』が「第1部完!& 第2部開幕!」となっていたら? を勝手に空想

2020.12.10

© 吾峠呼世晴/集英社
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祝完結! 『鬼滅の刃』

 発売された『鬼滅の刃』23巻を読んだ。まさに感動のフィナーレ。「いいお話だった!」と真心を込めてすっと言える素晴らしいエンディングだった。

 私はデジタル版で読み続けてきたが、『鬼滅の刃』は面白いことにノンブル(ページ番号)が極端に少ない。23巻ではP67(第200話「勝利の代償」の1ページ目)の1箇所しかなく、21巻や22巻においてはなんと1箇所もない。もちろん目次はあり、各話ごとのノンブルは記載されているが、実際のページにノンブルは無い。珍しい造本である。

 終わり方も見事に、ラストでは感動的なメッセージの波状攻撃を受けるが、この壮大な物語を締め括るにふさわしい内容と量だと感じる。なにより一気に現代へ飛び、現代編がエピローグとして位置付けられているのも気持ちが良い。この物語と「いまを生きる私たちの時代」がリンクしていると強く感じる仕掛けが嬉しい。

勝手に空想!『鬼滅の刃』の続き

 嬉しい点をもう1つ言えば、かつてのジャンプ作品にありがちだった次章が開幕する展開がなかった点が小気味よい。もしここで「第1部完! 来週より第2部スタート」であったら辟易していたであろう。にもかかわらず、ここで仮にもし「幻の第2部」が存在したとしたら、どのような展開がありえただろうか? と勝手に空想してみる。

〜『鬼滅の刃』第2部〈北の大地編〉

 鬼舞辻無惨との死闘を終え、傷も癒えた数ヶ月後。新聞に奇怪な記事が載る。北海道で謎の惨殺死体が発見。遺体は人間技とは思えないような力で引き裂かれた状態で散乱しており、熊に襲われたのではないかと警察は発表するが、ある人物たちはそれは真相ではないと直感する。――鬼の仕業だ⋯⋯。鬼舞辻無惨が滅びてもなお、愈史郎のようにその束縛を逃れて生き延びていた鬼が北の大地に潜伏していたのか? 一旦は解散した鬼殺隊が再び召集され、極秘の調査が始まった。果たして事件の真相は鬼なのか、それとも⋯⋯。開拓途上の北海道を舞台に、『鬼滅の刃』第2部〈北の大地編〉、開幕!

〜『鬼滅の刃』第3部〈大陸の覇者編〉

 鬼殺隊隊員は、体の傷は癒えても心の傷は治らない。繰り返される戦いの悪夢にうなされ、今日も鬼殺隊の隊員たちは深夜に目覚めてしまうのだった⋯⋯。時は流れ、世界が戦争の雲霞に包まれつつある昭和初期、産屋敷家を訪問する一人の外国人の姿があった。「日本ニイタ、”オニ”ノコト、知リタイ」。片言だが通訳を使わずに話すその東欧某国からの客人は、鬼殺隊が討伐してきた鬼、その頭であった鬼舞辻無惨について情報を求めつつ、訪問理由の核心にしだいに話を進めてきた。海の向こうで彼らが戦っている異形の敵――吸血鬼や狼男といった“MONSTERS”について⋯⋯。鬼殺隊が海をわたり、人智を超えた新たな脅威と対峙する。しかしその戦場に突如、科学先進国の独逸や仏蘭西、英吉利といった国々の機械化兵団が乱入! 人、鬼、近代兵器の三つ巴となる激動の第3部〈大陸の覇者編〉の戦いの火蓋が切って落とされる!

〜『鬼滅の刃』第4部〈帝都の最期編〉

 痣の者達の代償は大きく、余命いくばくも無いことを感じているのは炭治郎一人だけではなかった。鬼殺隊もしずかに歴史の闇に消えゆくあるその時、不可思議な情報が元鬼殺隊隊員の間に駆け巡った。「鬼殺隊を三たび組織し、その超人的な能力を国家のために活用せよ」との報せに困惑する元隊員達が、一人、また一人と謎の失踪を遂げるなか、その痕跡となる“あの匂い”が再び炭治郎の鼻腔を刺激する。フードと仮面で素顔を隠し、藤の紋様を持つ謎の剣士の正体とは? 鬼殺隊 VS. 鬼殺隊、帝都東京の闇の中で、鬼斬りたちの最後の戦いが始まろうとしていた⋯⋯。

〈おわり〉