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『ダンジョン飯』考察|西方エルフの迷宮調査制圧部隊「カナリア隊」について

〈更新履歴〉
2019.9.22|8巻発売後
* 追記 2020.5.16, 一部修正5.18, 5.31|9巻発売後
** 追記 2021.2.24|10巻発売後
追記 2021.8.11|ワールドガイド 冒険者バイブル読了後
追記 2021.9.20|11巻発売後


© Ryoko Kui 2019-2021

注意!【ネタバレ】有り

この記事の趣旨と内容

 この記事は『ダンジョン飯』7巻以降で準レギュラー的登場人物となっている「カナリア隊」メンバーについての作中での説明と描写の集積を通じ、「カナリア隊」とはどのような組織であるかを分析、考察することで、『ダンジョン飯』の作品世界内における存在感、影響を最終的には考察的小論としてまとめることを目的としています。『ダンジョン飯』は現在進行形の作品であるため、本記事は一種のノートのように、各単行本の内容を一定間隔をおいて追随しながら更新を継続しています。

更新履歴等

カナリア隊とは?

 「カナリア隊」は俗称である。正式な部隊名は7-8巻時点では不明。9巻時点では「カナリア隊」と呼称される場面が多い。単に「部隊」とも言われる。 正式名称は「迷宮調査隊」である(WG P73)。

 小鳥の船首像を持つ大型船で「島」に乗り付けてきた。カナリア隊の直接的な由来は不明であるが、船首の小鳥像がダンジョン飯の世界での由来であろう。現実的には「炭鉱のカナリア」に由来するものと思われる。ただし、ダンジョン飯の世界に「炭鉱のカナリア」があるかどうかは定かではない。地下迷宮を進むドワーフなどがカナリアを連れている描写は現時点では見かけないため、そうした無臭性の毒ガスに対する警戒としてカナリアを持ちいる習慣は『ダンジョン飯』の世界にはないのかもしれない。「 炭鉱夫たちがカナリアを連れていたことに由来し、彼らの任務を揶揄した俗称」とされている(WG P73)。船首の小鳥像は「春の訪れを意味するヒバリ」とのことである(同)。

  カナリア隊は物語の舞台である「島」の最寄りにして最大の町「カーカブルード」(7巻P143)のある大陸( 東方大陸(WG P130))とは異なる「北西の大陸にある都市」(同)、すなわち「西方エルフ王都」が本拠地である(WG P131)。

7巻 P63

カナリア隊の目的は?

 「迷宮の危険性が一定を超えた時やってくる 彼らの任務は迷宮の調査そして制圧」(7巻 P63、カブルーのセリフ)。前から島主に圧力をかけている噂があったが、強硬策に出たとカブルーはシュローに説明する。


9巻 P189

 * 迷宮の危険性は、迷宮がなぜ存在するかに関連する。『ダンジョン飯』の世界では、「永久機関を求めた古代人」(9巻P188)は、「無限が存在する異次元と門を繋げた」(同)。しかし「〝あちら〟の生物も招いた それが悪魔」(同)であった。悪魔が好むのは人間の欲望であり、人間の欲望を食うことで悪魔は力を得る。欲望はいわば人間の強みであり、弱みでもある両面性のあるものだ。悪魔が人間の欲につけ込んでくることは、『ファウスト』以来、一貫した悪魔と人間の相互関係のテーマである。「迷宮の力すなわち悪魔は強い欲望を持つ者を招く」(9巻P187)、「とりわけ強い欲望を持つ者を主に選び望みを叶えさらなる欲望を引き出す」(同)。迷宮の主となったものの末路は悲惨である。「欲望を全て食われた者は皆衰弱死した」(9巻P188)とのことだ。「古代人は悪魔が自由に門を通ってこないよう迷宮を作った」(9巻P189)のであり、「古代魔術は悪魔召喚の儀だった」(同)。人間の欲望を食って十分に力を蓄えた悪魔は「すぐにでも殻を破りこちらへやってくるだろう」(9巻P190)とミスルンはカブルーに解説した。この悪魔の出現が、すなわち「迷宮の危険性」であり、悪魔の出現阻止がカナリア隊の真の任務である。[9]

 * 「古代人」が求めたという「永久機関」は、いうまでもなく熱力学の法則によって否定されている存在である。エネルギーが無から生じることはなく、また無限に変換することも不可能であるため、永久運動する機関は実現しえない。だが古代人が開いた「異次元」は、どうやら現実の物理法則を超えたエネルギー(無限)を取り出しうるものであるらしい(9巻P188)。つまり「悪魔(あちらの生物)」とは〝無と無限に関する存在〟であるようだ。しかし長命なエルフをはじめ、人間には生命力の限界がある。「悪魔」がどれほど「欲」を欲深い人間(この「欲」は「高い理想」とも言い換えられることに注意が必要だ)から取り出そうとしても、〝因果律そのものに対する反逆、エントロピーを凌駕する願い〟(see also:『魔法少女まどか☆マギカ』, 2011)は単一の人間から容易には取り出しきれないのであろう。[9]


9巻 P188、5コマ目

 * あらゆる生命体は「欲」によって動かされている。これは原始的な構造の生物から人間のような複雑な構造の生き物まで共通事項であり、生命体とは生命維持のために希求する根源的欲求を含めて「欲望を機構化したもの」と定義できるだろう。「宝虫」や「サキュバス」など、『ダンジョン飯』には「欲望」に絡んだエピソードが多いこともうなづける。人間は「生存本能」だけで生きているのではなく、マルシルの古代魔術への知識欲、ライオスのモンスターへの想いなどもすべて「欲」である。「願い」も「向上心」も「希望」も「煩悩」も「恋焦がれる懊悩」の類いもすべて「欲」だ。願う内容がたとえ他者の幸福を願うようなものであっても、究極的にそれは「願う本人の個人的願望(あるいは「そうあって欲しい」という自己中心的願望)」である。悪魔はそれも狙い、幻覚的な幸福感を提供する。だが迷宮の主となって迷宮の底に閉じこもっていても、世界そのものは小指の先ほども変わらない。迷宮の主だけが「願いが叶うという〝麻薬〟」にはまっている状態だ。悪魔はこの麻薬を提供してくる「売人」というわけである。犠牲者は悪魔によって無上の幸福を経験するが、その代償として徐々に複雑化した感情をこじらせていき、しまいには衰弱死するまで「気力・欲(言い換えるなら「生命力」)」を食い尽くされる。


8巻 P109
「一度迷宮の欲望に囚われてしまった者にもはや言葉は届かない」
このセリフは元・迷宮の主人であったミスルンだからこそ重みのあるセリフである。

 * 『ダンジョン飯』に登場する悪魔の出典が実在の古典的書物『ゴエティア(Goetia)』の「ソロモンの72柱」に基づいているならば、「狂乱の魔術師シスル」と関係し、ライオスを〝誘惑〟しつつある「翼獅子」は、その姿から「ウァプラ(Vapula、ヴァプラ)、またはナフラ(Naphula)」の名を持つ悪魔であると推測される。ウァプラは〈グリフォンの翼を持ったライオンの姿で現れるとされる。あらゆる手作業を器用にさせたり、哲学をはじめとする学問に精通させる。『ゴエティア』によると、地獄の36の軍団を率いる序列60番の偉大にして強大なる公爵〉(出典:ウァプラ|Wikipedia)である。ミスルンを〝誘惑〟した悪魔は「ヤギの頭部を持つ」という1点だけで判断するならば「バフォメット(Baphomet)」(出典:バフォメット|Wikipedia)となる。が、独自の世界観と設定構築の色が強い『ダンジョン飯』において、こうした情報を恣意的に当てはめることは好ましくないかもしれない。参考情報として提示するにとどめる。

 カブルーはウタヤ事件で「当時の副長が連れ帰って数年間育てられた」と述べていることから、カナリア隊について知識がある。また、このセリフから、現在の副長はカブルーが世話になったエルフとは別人物であることもわかる。* カブルーが少年時代、世話になった様子は9巻で描写される[9]

 * カブルーの「育ての親」の氏名は明示されていないが、陰気なミルシリルである。カブルーの剣術稽古をつける前日談と、ミスルン救出時のキャラクターの造形は「目の描き方」「髪型」などに共通点が多く、外見上は同一人物と認められるだろう。九井諒子氏はキャラクターの目の描き方は脇役やモブにおいてもかなり明確に描き分けている。カブルーに接するときと口調や表情に違いがあり、個性(性格上の二面性)と考えられる。[9]

 なお、こうした迷宮の特性はすでに7巻でセンシがライオスたちに具体的に説明している。「……長く迷宮で暮らしてひとつ気づいたことがある」「この迷宮は人の欲望に強く反応する」「富 知識 名声……」「オークたちのような迷宮へ〝求めない者〟に対しては寛容だが 何かを求めた途端 牙を剥く」「迷宮の反応は更に苛烈になるだろう」(7巻209、すべてセンシのセリフ)。

カナリア隊のメンバーは?

 部隊の総人数は不明。船内に一定数の本隊がいて、ミスルンら6名は交渉のための先遣隊と思われる。(7巻 P170のパッタドルのセリフ「今すぐ上陸命令を出しましょう!」などから推測)。* 9巻でリシオンの説明によると「パッタドルが暴走して待機中の仲間を上陸させた(9巻P197)とある)。** 10巻にて本隊のメンバーが登場し、迷宮の1回にてタンス夫妻と衝突する様子が描かれる(10巻P96〜P97)。[10]

 カナリア隊のメンバーについてカブルーは、「半数は古代魔術に関わった犯罪者で構成」「全員が迷宮攻略のためだけに技を磨く部隊」(8巻P133)と説明する。この点からも、カナリア隊自体が戦闘集団でありながら、特定任務に特化した「特殊工作部隊」とも言える。

 * カナリア隊のメンバーは古代魔術への関わり方も不法に関わったことで罪に問われた「罪人」と、その看守として機能する貴族の子息で構成されている(9巻P137)。その比率は「看守1人に対して罪人2人の割合」(同)であり、看守は「貴族が国への忠誠を示すため差し出した子息」(同)とされている。同ページには「子息」とあるが、子息は「息子」と同義語であり男に限定される言葉だ。だがパッタドルやカブルーの育ての親[註 陰気なミルシリル]は貴族の女であるので、正確には「子弟」(子供や弟。転じて,年若い人。年少者。出典:スーパー大辞林)と表現されるべきであろう。[9]

 * 物語本編に登場するカナリア隊は看守はパッタドル、罪人はその他メンバーだ(ただしミスルンは立場が異なる)。[9]

 『ダンジョン飯』の世界でも戦争(国家規模での軍事衝突)は起こっているだろうが、カナリア隊は戦争のための部隊ではない。迷宮内では、迷宮の主の思考や行動を読みながらの対応が求められることから、6名という先遣隊のメンバー構成は機動性と戦術性を最大限に発揮しうる人数であろう。そのメンバーも、迷宮は閉鎖空間であることから能力の相互補完を前提として構成されている

  囚人は看守の許可がなければ魔術が使えないという強い制約が掛けられている点がカナリア隊の特徴だ。よって「看守が先に死ぬと囚人は術を使うことができず、自分の身を守れずにお後を追うハメになることも多い」(WG P73)とのこと。ミスルンはオッタとシスヒスの看守(WG P72)、パッタドルはフレキとリシオンの看守(WG P78)である。

耳が欠けている理由は?

 カナリア隊のメンバーの容姿には露骨な特徴がある。エルフの特徴である尖った長い耳の一部が「欠けている」点だ。隊長ミスルンにいたっては、耳の先端側3分の1から半分ほどがない。パッタドルを除く他の4名も、耳にくさび状の切れ込みが入っている。これが「古代魔術に関わった犯罪者」の外見上特徴として受けた刑罰なのかもしれない。この推測が正しければ、この切れ込みがないパッタドルは、古代魔術関与の罪に問われていない隊員ということになる。

 * 上記の検討のとおり「罪人には耳に切れ込みを入れられる」(9巻P137)とのこと。パッタドルは貴族の子弟、その他のメンバーは罪人である。[WG]後述するがミスルンは元は貴族の青年であり、耳の先端を失った事情と経緯は他のメンバーと異なる[9]。ミスルンは元迷宮の主であるが、現在も貴族の一員として看守の役割でカナリア隊に所属している。[10][WG]

  囚人(罪人)たちが古代魔術に手を出す理由は人それぞれであるが、『ダンジョン飯』全体に通底するテーマである「欲」が明確に関係していることが描写されている。シスヒスは自身も北中央大陸出身であるが「貴族や裕福な者への強い妬みを抱いている」(WG P78)、フレキは「こんな世界は掃き溜めにしか感じない」(同P85コマ8)、リシオンは強い醜形恐怖症による獣人への憧れを持っており(同P84)、オッタは自身のジェンダーに悩みを持っていた。シスヒスには「オフリ」という苗字らしき説明があるが、家名とは異なるようだ。フレキ、オッタ、リシオンには家名がなく、犯罪者となった時点で一族から勘当されているものと思われる。南中央大陸と北中央大陸のエルフ国家は別々である。二国間関係は同盟関係にあるが(WG P132)、出身地に関係なくカナリア隊は〝北〟の国家側の組織の様子だ。

8巻 P133
8巻 P147
9巻 P137|陰気なミルシリル(右)、ヘルキ(左)

先遣隊のメンバーは?


7巻 P77

 先遣隊(筆者による仮称)は6名構成である。島主との交渉中にカブルーが入っていく場面(7巻 P67)で初登場する。ざっと隊長のミスルン(指揮・戦闘)、パッタドル(戦闘補助)、シスヒス(戦闘・戦闘補助)、オッタ(戦闘補助)、リシオン[9]氏名不詳(戦闘)、フレキ[9]氏名不詳(戦闘、探査)という役割分担がなされている。非戦闘にあたる交渉ではシスヒスとパッタドルを主として交渉を進めるようだ。描写は少ないが、交渉中に他のメンバーも皮肉、茶化し、言葉遊びなどを紛れ込みながら悠長に交渉を進めているようにも思える。長命種族ならではの「慌てなさ」である。(事態が危急を要する場面でも彼らは慌てないだろう)

 6名の能力のバランスが冒険者(あるいは迷宮攻略パーティ)において重要であることを考えると、カナリア隊先遣部隊の編成は次のようだと考えられる。基本的に全員軽装(というか金属防具による防御的武装が皆無)なのは、このパーティが極端なまでに鋭利な突破力へと戦闘教義を特化させているからだと思われる。

 * 余談だがカナリア隊の制服は胸元に厚手のキルティング生地がつかわれているためか、胸部が男性でも盛り上がって見え、かつ男性も上半身は細身であるため腰回りのくびれが強調されがちなど、男女の外見上の区別がつきにくい傾向がある。そのため筆者を含め、ミスルンを女性だと思っていた読者は多いようだ。

             
配置名前攻撃方法射程距離
前衛ミスルン転移術による攻撃。転移術を用いた格闘は8巻P104〜P108、接近戦でのマントを用いた斬撃は11巻P151〜P152にて描かれる。接触〜近距離
リシオン[9]獣人化による格闘。接触
フレキ[9]黒い鳥型の魔物(使い魔[9])による攻撃近〜中距離の飛翔攻撃
後衛オッタ土(または迷宮の構造)を操作する防御的な術に見えるが、使いようによっては攻撃も可能と思われる。11巻P154にて実際に攻撃手段として用いている場面が描かれる。近〜中距離
シスヒス火を使う魔法攻撃と予想される。 11巻にて幻覚術を使用する戦闘補助が描かれるが、直接攻撃魔法の描写はない。防御手段としては不明近〜中距離
パッタドル水のような防御結界を張ってパーティを守る。攻撃手段としては不明だがウンディーネの攻撃と同じ攻撃手段が用意されているものと思われる近距離か

8巻 P90

指示系統は?


8巻 P150

 一見するとミスルン(隊長)とシスヒスがともに行動している場面が目立ち、パッタドルがうろたえている表現があちこちで見られることから、シスヒスが副隊長のような印象を最初は受けたが、隊としての指示系統はパッタドルが次席の地位にあるものと考えられる。これはカブルーがミスルンを押さえつけた際、シスヒスがパッタドルにアイコンタクトをしてから攻撃の予備動作に移っていることからそう判断できる。

 * これにはパッタドルは「看守」であり、シスヒス、オッタ、フレキ、リシオンは「罪人」という立場の違いもあるだろう。パッタドルは部隊(本隊)の上陸を再三言い、ミスルンの転落後は暴走して本隊を上陸させるなど、指揮官としては短絡的な行動がやや目立つ。[9]

  囚人が魔術を使うには看守の許可が必要である(WG P73)。この場面は〝パッタドルがシスヒスに魔術の使用を許可した描写〟であるとわかる。

ミスルン


7巻 P77

本名 ケレンシル家のミスルン

階級 隊長・戦闘指揮、貴族出身、* (元)迷宮の主[9]

所属 エルフ(西方エルフ)、北中央大陸出身、185歳

性別 男[9](筆者は途中まで女性キャラだと思っていたが、どうやら男なのではないかと8巻の途中で思うようになったので仮で男としておく。でも女かもしれない) * 9巻にて青年時代のエピソードが明らかになる。 母の不義の子である

肌タイプ 白系肌

髪型 中分けウェーブ系ショートボブ

耳の状態 左右とも先端側がない

一人称 私

その他の特徴 右目は視力がない様子。 右目は義眼である。 方向音痴(* 迷宮の主であったときの名残として人間の感覚での前進よりも抜け道を自然と見つける[9])。戦闘中に微笑するほどの武闘派。

カブルーによる推測 年齢「180歳くらい?」、身長「155cm前後」、瞳が「黒」(黒はエルフには珍しい。青年時代は銀色)、名前「ミスリル由来か?」、言葉に訛りがないことから「中央の出身」。(すべて9巻P137)

得意技 転移術。自分自身または触れるものを転移(空間交換)させる魔法。生物・非生物は問わない。物理空間的に区切れている物体同士を入れ替えさせる(何もない空間との交換は移転したように見える)。


8巻 P108


8巻 P135


10巻 P103, 6-7コマ目

 視界の範囲であれば指定の場所を狙い撃ちできる(片目ゆえに命中精度はやや低い)など、この転移術は殺傷性の非常に高い攻撃手段でもある。視界外の空間との交換(転移)は無作為に近い状態で行われるため、どのような場所に飛ばされる(交換される)かは予想がつかない。描かれている術行使場面から判断するに「送る」空間は物体でなくてはならないが、「交換される」空間は何もない空間(空気)でもよいもよう。ファリン攻撃時に「脳を狙った」(P144、7コマ目、オッタのセリフ)とあるが、手元の「空気だけを送って、脳だけ抜き取る」ような攻撃をしていないことからそう判断した。空腹に弱いのか、カロリー消費が激しいのか、シスヒスに「ご飯食べさせないと」(P146、1コマ目)と言われる。「身体の接触面が多いと転移できない」(11巻P180, 7コマ目)という特徴がある。

 * 欲求を感じない体 ミスルンは「悪魔への復讐欲(復讐心)」以外のすべての欲求を失っている。迷宮の主として悪魔に「欲」を吸い取られた果てに、「あらゆる欲求を〝感じない〟体になってしまった」(9巻P166)。喪失した欲求には睡眠や食事、排泄といった生理的欲求も含まれているが、「寝なくて済む・食べなくて済む・排泄も不要」なのではない。本来は体が発する警報である生理的欲求を感じられないため、生命維持にさえ困難のある体質となっているのである。魔力切れの場合も突然に気絶する。そのため、普段の世話はシスヒスを中心に行われている。眠りにおいても「薬か魔術がないと眠れない」(9巻P165、2コマ目)と言っている。ただしこのときはカブルーによる脚へのマッサージによって眠りに落ちている。[9]


9巻 P149, 1コマ


9巻 P153, 7コマ目|カブルーは「体力あるな」と言っているが、これは誤解であることがのちにわかる


9巻 P166, 5-6コマ目

* 青年時代と罪 ミスルンがカブルーに語った物語は非常に複雑かつ登場人物の多いものであった。ミスルンの過去について、9巻時点では「ミスルンが語り、カブルーが理解した範囲」が描かれるので確定的事実とは限らないかもしれないが、大筋事実であろう。[9]

 * ミスルンは貴族階級出身である。「当時はまさに完璧な青年」(9巻P166)という表現はカブルーの脚色も入っているだろうが、実際そうであったのだろう。ミスルンは兄に代わってカナリア隊に入隊した。入隊当時は一隊員であった(9巻P162)40年前に任務で「港町近くの迷宮」へ入り、そこで「迷宮の主(あるじ)」(9巻P159)となり、そこで「食べ残され」(9巻160)た。9巻時点ではミスルンが迷宮の主であったエピソードは紹介されたものの、エルフ社会での「罪状・罪名」について具体的には明かされていない。または「罪人」として扱われていない可能性もある。[9]  ミスルンは迷宮の主とはなったが、古代魔術関与の罪人とはされていない模様。中央監視塔の事件後に救出されたのち、ウタヤ事件を経て陰気なミルシリルの奨めを受けて隊へ復帰後は、シスヒスとオッタの看守兼隊長として行動している。


9巻 P168

* ミスルンと魔法の鏡 ミスルンは「港町近くの迷宮の底」で「ひとつの鏡」を見つけた(9巻P169)。その鏡は「見た者の欲望を映し心を奪う魔法の鏡」(同)である。魔法の鏡に映った「自分の兄と想い人が食事をしている」光景はミスルンにとって「叶わなかった恋」(同)であり、彼は「ひどく動揺」(同)した。カブルーはこのエピソードを「うまい舵取り」「悲恋話は古今東西問わず万人受けする」(同)と言うが、マルシルの趣味のことを紐付けて考えると、エルフ全体にこうしたジェットコースター型ラブストーリーを愛好する性質や貴族的なドロドロの恋愛をゲームのように楽しむ傾向があるように思われる。9巻P186・4コマ目の背景に描かれている関係図のうち、ミスルンから兄への矢印には異常な情報量となっており、一方的に複雑化(complexity)した感情を抱いていたことがわかる。こうした傾向はマルシルだけのものではないといえるだろう。「迷宮の力すなわち悪魔は強い欲望を持つ者を招く」(9巻P187)、「とりわけ強い欲望を持つ者を主に選び望みを叶えさらなる欲望を引き出す」(同)。それはミスルンの想い人への恋慕は強かったことの証左であろう。「魔法の鏡」はグリム童話『白雪姫』以来、ときに人の欲望を満たし、ときに人に渇望を抱かせる呪力の高い小道具として扱われる。[9]

* ミスルンの欲望を食う悪魔 怒りの衝動で叩き割った鏡から一匹の仔ヤギが現れ、「入隊さえしなければ一緒になれるはずだった」「今からでもそんな未来を見たくないか」(9巻P170)とヤギはミスルンをそそのかした。「カナリア隊に入隊しなかった自分の人生を〝欲して〟しまった」(9巻P171)。ヤギはミスルンに欲したものを「なんでも」(9巻P172)与えた。ミスルンが欲したのは「故郷の風景」「仲間や愛する者との穏やかな暮らし」(9巻P180)、つまり幸せな生活だった。だが迷宮は冒険者を呼び寄せる。防衛を強化しようとすればするほど「迷宮内には魔物が跋扈」(9巻P181)することになり「構造も複雑」(同)になった。ヤギはミスルンの「願いを叶える」(同)ことで力を増していく。かつての想い人も下半身が大蛇の姿(これは9巻表紙絵にある俎板の突き刺さった蛇であろう)として描かれ、仔ヤギも成獣に変貌する。欲望を悪魔に吸収されたことでミスルンは気力を失い、ついには体を食われて「生存欲」も喪失した。[9]

* 最後に残った悪魔への復讐欲 ミスルンを救助したエルフ(カナリア隊メンバーの「陰気なミルシリル」と「ヘルキ」である。救助シーンは9巻P184-185、ミルシリルとヘルキは9巻P163に登場)は、ミスルンについて「悪魔への復讐心だけ食い残された」「彼はこれから悪魔を殺すためだけに 食べたくもない飯を食い 生きたくもない生を生きるだろう」と言われる。ミルシリルは、「(悪魔は)十分な力を蓄えるには(ミスルンでは)食い足りなかった」(9巻P185)ので、(ミスルンを食べた悪魔は)姿を消したと語る。ミスルンの右目と耳はこの時に悪魔に傷つけられ、左目も黒に変色したことが回想で描かれる。[9]

廃人状態からの復帰とリハビリ ミスルンを「完璧な青年」と考えたカブルーに対し、「違う」(WG P76コマ1)とミスルンは即座に否定する。「全ての人間を見下していた」(同コマ3)「全てが許せなかった」(同コマ6)のであり、悪魔はそうしたミスルンの「劣等感、嫉妬、嘘、怒り」(同P87コマ4)を見抜いて捕らえ、最終的に生存への欲求に加えて「目と耳を奪った」(WG P76コマ7)のである。兄との関係は「良好」(WG P77コマ12)で「5年に1回程度は会っている」(同P73)とのことだが、WG P74の「来歴」に基づくと、救出(479年)からウタヤ事件(499年)までは20年ある。来歴では救出後から「リハビリに励む」とあるが、陰気なミルシリルの発言によると「完治したのに未だ死体も同然」(WG P86)であるから、「ウタヤで悪魔を見た」のがウタヤ事件(499年)のタイミングと同じことを指しているのであれば、この間はほぼベッドから動いていないものと思われる。悪魔への復讐欲のみに突き動かされてからが、おそらくミスルンの本格的なリハビリであろう。翌年のカナリア隊隊長就任(500年)から島上陸(514年)までは15年あるから、単純計算で3〜4回程度会っている計算になる。会っているということは実家への帰還を意味していると考えられる。ケレンシル家には迷宮の主を自家から出してしまった汚名があると思われるが、ミスルンを追放しているわけではなく、引き続き貴族(看守)として任務に当てているようだ。実家を含め、広い人間関係の中でミスルンの過去の本心が知れ渡っていることは想像に難くないが、悪魔への復讐のみがミスルン唯一の生きる理由であり、もはや羞恥心や過去に囚われる心理も彼にはない。恥のような感情を含む心理的欲求も感じない身体になってしまったのだから。

* カブルーへの態度の軟化 ミスルンはカブルーとの同行の間で、カブルーへの態度を徐々に変化させている。カブルーは迷宮の制圧に使命感を持っており、その目的達成のためであれば手段を問わず、自分の選り好みを克服できる精神的強さを持っている。一方でその目的意識のための諸動作は「欲」にも直結する要素となる。だが迷宮攻略にはカブルーが必要と認識して心を許したのか、「お前は知りたがりだな その性質は迷宮では命取りとなるぞ」(9巻P158)とアドバイスし、カブルーからライオスの話を聞いて危険性を察知した以後ではカブルーに「どうしたい?」(9巻p200)「うん ではそうしよう」(9巻p202)と微笑を浮かべてカブルーの意思を支援している。[9]


9巻 P181, 1コマ目

* 黒-赤-黒-白の縞を持つ大蛇となった〝想い人〟 ミスルンが幸せな生活を欲した「想い人」は、ミスルンが主となった迷宮では下半身が大蛇となって現れる。本誌内の描写はモノクロであるが、表紙では「黒-赤-黒-白」の順番の縞模様を持つ様子が描かれている。この配色は実在する毒ヘビ「サンゴヘビ」や「プエブラミルクヘビ」などが該当する。蛇は鱗の枚数などで種類が異なるが、本作で描写されている「下半身の蛇」を具体的な種類と同定するのにはやや無理があるだろう。日本国内でもペットとして流通している。[9]

シスヒスの幻覚術を跳ね除ける復讐心の強さ ウタヤ事件で壊滅的な被害を受けたカナリア隊に「自分がそこにいれば悪魔をどうにかできたはず」(WG P73)という思いで隊長として復帰したミスルンは、シスヒスの世話を受けることになる。シスヒスの幻覚術はミスルンを簡単に操作し、「言いなりすぎるのも楽しくない」(WG P82)とまで言われる。だが「事故にでも見せかけて あの女(註 パッタドル)を痛めつけてくださいな」(同)という幻覚に対しては「嫌だ そんなことをすれば隊にいられなくなる」とあっさり拒絶する。悪魔への復讐のみを欲求として生きているミスルンにとって、幻覚術を跳ね除けるほど強い。シスヒスにとってこれは意外なことだったらしく、結果的にシスヒスからの敬意も獲得する。

「欲がない」ことの空虚さ 無欲や無私であることは一般的に美徳とされる。それほど現実の人間と社会は強弱大小の欲望にまみれているからだ。しかしそれらの全てを奪われ、喪失してしまったらどうなるだろう。迷宮の力を使って叶えた欲望は悪魔に食われ、最終的には生存のための基本的欲求まで食われて廃人化する。その状態をミスルンは「空虚」(11巻 p136, p6)だと表現し、マルシルに対して「確かに迷宮は人の欲望を叶える が同時に人はその欲望を失うことになる」(11巻 p136, コマ5)「それがどんなに空虚なことかお前にはわからないか」(11巻 p136, コマ6)と説く。


9巻 P163, 7コマ目


9巻 P163, 9コマ目


9巻 P184, 3-5コマ


8巻 P146, 6コマ

パッタドル


7巻 P74

本名 ヴァリ家のパッタドル

階級 隊員・戦闘補助(副隊長かもしれない ミスルンのパートナー)、* 貴族[9]

種族 エルフ(西方エルフ)、北中央大陸出身、82歳

性別 女

肌タイプ 白系肌

一人称 私

耳の状態 切り込み無し(正常)

その他の特徴 鼻が長い(高い)。気弱なのか、うろたえる描写がしばしばある。根は善人のようでもあるが、カナリア隊の使命感は強いようで任務においては積極的に見える。実際の戦闘においては容赦ない面もあるのだろう。服装はフルロングスカートでマントを常時着用。言外の表情から、シスヒスに対してライバル意識を持っているかもしれない(8巻P94の表情など)。 負けん気の強い性格である。

得意技 水のような膜状の結界(物理)を作る。外側からは侵入できないが、内側からは出られる。 結界を作るには、フェアリー(連絡用妖精)を「ギュ」(8巻P117)と掴んで「ぼわぁ ⋯」と光の杖に変え(11巻P153)ながら詠唱を行う。この詠唱には一定時間が必要なようである(11巻P153)。

8巻 P117

シスヒス

8巻 P94

本名 シスヒス・オフリ

階級 隊員・戦闘・戦闘補助、* 罪人[9]

罪状  古代魔術の使用及び殺人教唆、文書偽造、詐欺。終身刑

種族 エルフ(西方エルフ)、北中央大陸、149歳

性別 女

肌タイプ 褐色系肌

髪型 腰まであるロング

耳の状態 くさび形の切り込み有り

一人称 私

11巻 P112, 5コマ目

その他の特徴 身長が高い。額に7条の放射状の文様がある。中央の1本は長く、他の6本は爪程度の長さ。下まつげが強調されて描かれている。他のエルフが着用している首まであるキルティング風のネックがなく、デコルテから胸元まで大きく開いた胸を強調する服装。首に黒系色のチョーカーを着用。西方エルフの描写でよくみられるロングスカート。口調は相応の立場の相手には慇懃だったり、目下には優しかったりするが、これらはすべて交渉やコミュニケーションのためであろう。本心は残酷で、隊内ではミスルン並みに冷酷無比な魔法使いと思われる。 理由は未詳だが「貴族や裕福な生まれのものに対して強い妬みを抱いている」(WG P78)。

得意技 詳細不明、 すずらんのような形状の小さな魔法杖を使用する。 杖は金色である。「鈴の音によって人の心を惑わせる幻覚術の使い手」(WG P78)。「(大茸を)燃やしたり」というセリフがあることから、火炎を操れるものと思われる。 11巻までの時点で攻撃魔法を行使する描写はないが、幻覚術はしばしば使われる。戦闘中での使用例は11巻p155にて走るマルシルに「あなたの両足は石になる」と幻覚術を掛ける。

オッタ


8巻 P119(左右どちらも)

10巻 P105, 4コマ

階級 隊員・戦闘補助、* 罪人[9]

罪状  古代魔術品の売買及び使用、人身売買。懲役年は不詳

種族 エルフ(西方エルフ)

性別 ** 女[注]
注:10巻P105, 4コマ目にてカブルーから「彼女」と呼ばれていることから女性と思われる。容姿は小柄な男性のようでもある。(右図)

肌タイプ 白系肌。腕と足に線模様の刺青風の文様が特徴

一人称 

耳の状態 くさび形の切り込み有り

髪型 ベリーショートの短髪

その他の特徴 耳にリング状のピアスを左耳に3個、右耳に2個のリングを装着(これは両耳に3個ずつの可能性がある)。腕の刺青の文様は腕輪のように描かれていることもある(7巻)が、作画ミスかもしれない。ざっくばらんな口調で話す。過去に何人もの若いハーフフットの女に手を出すが「人間として尊敬し恋におちた」(WG P85)と語る。

得意技 床に手をついて集中することで、任意の場所の迷宮の形を変えられる。8巻では床を柱状や壁状に伸ばしてミスルンの足場を作ったり、シスルの脱出の妨害などを行なったりした。迷宮のあるじが行使する「迷宮を作り変える能力」の亜種だろうか。迷宮の変形ではなく、土を操作する術の可能性もある。石畳の内側には土が詰まっている描写などが細かい。 「迷宮に接触することで、床を隆起させたり壁を切り開いたりと、地形をある程度変えることが可能」(WG P80)とのことである。 11巻P154にて実際に攻撃で使用する場面が描かれる。「貫けッ」(11巻P154, 1コマ目)の一言と共に地面(床)を操作してする太い槍のようにして翼獅子を食い止めている。

フレキ[9] 氏名未詳


8巻 P143|コマ内左

階級 隊員・戦闘員、* 罪人[9]

罪状  古代魔術品の所持利用及び売買、懲役240年

種族 エルフ(西方エルフ)、南中央大陸出身、130歳

性別  女  * 男 [注]  わかりにくいが女の可能性が高いように思う
注:「【Web限定&先行公開!】九井諒子ラクガキ本「Daydream Hour Extra」」の「04 カナリア隊の基本装備。」にて肌着1枚から制服着衣のプロセスが公開されている。さすがに女性キャラクターをトップレスで描かないだろうから男性だろう。 女性でした(WG P78)  胸元にかかるキルティング風生地が厚手のためか、白地の上衣を着ると胸元が膨らんで見える構造のようだ(下画像)。

出典:【Web限定&先行公開!】九井諒子ラクガキ本「Daydream Hour Extra」の「04 カナリア隊の基本装備。

肌タイプ 白系肌

一人称 

耳の状態 くさび形の切り込み有り


9巻 P174、5コマ目


10巻 P98、3-4コマ目

その他の特徴 ぼさぼさの長髪。鷹匠のような厚手の手袋を右手に装着している。この手袋は「買い物中」も装着しっぱなしである。ブーツはくるぶしまでの短いもの、上着の丈も短めで腿までの長さ。オッタ同様に口調はやや荒いが、カブルーに「ちゃんと食えてるのか?」(7巻 P75)と声をかけるなどの場面もある。ミスルンには畏怖を感じているもよう。(7巻 P75、ミスルンの「それで」の一言で緊張の面持ちで固まっているあたり)。カナリア隊の中ではツッコミ担当のような場面が多く描写されている。

 8巻P143では耳の切れ込みが描かれていないが、他のコマでは必ず描かれているので作画ミスと思われる。素肌の胸元には翼を広げた鳥形の紋様、腹部には呪術的な紋様が描かれている。

  麻薬購入のため(金銭目当て)古代魔術に手を出した麻薬中毒者である。「金が入るとすぐつぎ込む」(バイボルP83コマ4、リシオンのセリフ)、「幻覚作用のある茸を食べて使い魔を操作すると彼女曰く“本当”の世界が視えるらしい」(同コマ6)、「そこは何もも煌めいて鮮明で 泣きたくなるほど美しいとか」(同コマ7)。『カモメのジョナサン』のような世界である。「WG」では中毒者と解説されているが、依存薬物の中毒症状(禁断症状)についての描写がないので、常習者といったところか。

得意技 鳥型の黒い魔物(使い魔[9]。詳細不明)を召喚(または創造)して使役できる様子。8巻では実際の戦闘の描写はない。

 * 9巻にて迷宮深部へ転落したミスルンを捜索するべく「転移の巻物」を持たせた使い魔を派遣する。

 ** 偵察活動においては、フレキ自身は1箇所にとどまって瞑想状態のまま、複数の鳥型の魔物を使い、視覚の共有化と思われる偵察を行える。10巻(P98、3〜5コマ)では3羽の白い鳥を使役して偵察を行っている。鳥による偵察はシスルも使用する鳥の魔物を使った視覚の共有による偵察と同じタイプの古代魔術だと思われる。偵察中は本体は身動きを取ることができない。これは視界がダブってしまい行動が困難になるからであろう。(7巻P152でマルシル召喚術で生成した魔物(肉体を与えている)を飛ばしてセンシを探した際に詳しい。マルシルは「自分の視界と重なって気持ち悪い」「こんなの何匹も飛ばしてどういう情報処理してんだろ?」(同、ただしこれはシスルに対しての言葉である)という。)

  フレキが召喚する黒い鳥の姿はライオスによると「ワタリガラス」(11巻P98)である。本人の脳(意識)が接続されているかめか、この鳥が何らかの手段で破壊・殺傷されると本人は卒倒して意識不明の重体となり、「脳が損傷」(11巻P194, 8コマ目。リシオンによる説明)する。この場合、回復魔法は機能しないらしく、一旦絶命させてから蘇生することで生き返らせるのだという。しかも「よくあること」(同 10コマ目)らしい。

リシオン[9] 氏名未詳


9巻 P197


8巻 P149|コマ内左

階級 隊員・戦闘員、* 罪人[9]

罪状  古代魔術による人体の改変及び殺人障害。終身刑

種族 エルフ(西方エルフ)、古代魔術で獣の魂と人を結合させた亜人(人工獣人)、南中央大陸出身、126歳

性別 男

肌タイプ 白系肌。胸、脇、上腕、手首、腿、指に刺青状の文様が特徴

一人称 俺

耳の状態 くさび形の切り込み有り

髪型 本来のエルフの姿では、さらさら系ストレートの長髪(長さは尻まである)を2つに分けている。肩の少し上で筒状の装飾具を使って束ね、7巻では肩の後ろへ、8巻では肩の前へ垂らしている。

その他の特徴 タレ目、首巻きと腰巻だけを使い、上半身は裸。自らの容姿を醜いと感じていたことから人工獣人となる古代魔術に手を出す。 自分の容姿に対して重度の醜形恐怖症を抱いており、「自分の身体をとにかく粗末に扱いまくって⋯⋯」(WG P84)と回想するが、求めていたものが獣人の姿であることを知り、古代魔術に手を出す。獣人の姿を「カッコいい身体」(同)と表現する。性根は優しい人物であるようだ。幻覚作用のあるキノコ(「大歩き茸」と思われる)によるトリップ中のフレキを介抱し、涎で窒息しないよう、身体の向きを変えてあげる姿がWG P83コマ5、6にて描写されている。

得意技 自らを犬系の獣の姿へと変化させる。8巻では実戦の描写はないが、「引き裂いたり」というセリフがあることから、肉弾戦/白兵格闘においては相当な戦闘力があるものと想像される。 実際の獣人化は11巻P197にて描写される。爪が伸び、腕は筋肉質となって濃い灰色の体毛が全身を覆う。頭部は犬型の魔物となる。狼男(Werewolf、表4側カバー)である。本人は「犬型の魔物の魂なのは確かだけど なんの魔物かは知らないな」(11巻P215、モンスターよもやま話内なのでメタ的場面である)と語る。

カナリア隊の本隊のメンバー


10巻 P97|
迷宮1階にてタンスやシュローパーティメンバーと衝突するカナリア隊メンバー。

 ** メンバーの氏名等は未詳。10巻P96〜P97では7名ほどが確認できる。

フェアリー/ピクシー

 正式名称は8巻の時点では不明。* 9巻のカバーの裏表紙のイラストによると「Fairy」である。[9]  正式名称は「連絡用妖精」であり、「ホムンクルスと呼ばれる人造人間」と説明されている(WG P74)。

 頭に花輪をつけ、四枚の羽(昆虫のようなはね)で飛翔する。背中側の外骨格が薄く伸びて整形されているものと考えられる。自律的意思がある場面では黒目があり、道化的な演技を色々している。

 カナリア隊ではエルフたちの通信手段としてトランシーバーのように使われる。意思を剥奪されている際は白目で吹き出しが四角で描かれる。送信側は聞き耳を立てているような演技をし、受信側はスピーカーとして機能するようだ。 連絡用妖精自体に戦闘力はない。

8巻 P163
9巻 P142
8巻 P133

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『ダンジョン飯』の方向性とテーマについての考察およびイヅツミちゃんの名前についての考察

書誌情報

九井諒子 『ダンジョン飯』 KADOKAWA〈ハルタコミックス〉
・7巻 2019年4月12日発行, ISBN 978-4-04-735639-9
・8巻 2019年9月14日発行, ISBN 978-4-04-735626-9
・9巻 2020年5月15日発行, ISBN 978-4-04-736116-4
・10巻 2021年2月13日発行, ISBN 978-4-04-736274-1
・11巻 2021年9月15日発行, ISBN 978-4-04-736622-0
・ダンジョン飯 ワールドガイド 冒険者バイブル, 2021年2月13日, ISBN 978-4-04-736275-8

〈おわり〉


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