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notes for thinking―考えるための備忘録

分析とは、情報量を軽減させる営み。(​物語構造分析の理論と実践)​

象徴や隠喩によって示される意味を「自明な意味」という。本作は「自明な意味」がふんだんに使われている一方で、汲み取りにくく視聴者が吸収しにくい付加物のような表現はほとんどないように感じられる。画面内の情報は念入りにコントロールされているため、物語の意味の自明さを阻害しない。しかし本作では、監督の物語進行やフィルム的事象の操縦が極めて巧みであるため、視聴者は独自の解釈の幅の中を遊ぶことができる。バルト(Barthe)の言う「鈍い意味」のようである。本作は監督の一義的な解説の連続に陥らず、自由で詩的な理解と鑑賞、作品の受容者による美的再生産・再創造が許されている。鑑賞者には、登場人物に感情移入する自由と、または感情移入をしない自由の両方が柔軟に与えられている。鑑賞者は、主に登場人物たちの態度で構成される意味空間のどこにでも、好みの場所に居られる。

2022.7.20
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