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notes for thinking―考えるための備忘録

永井荷風、享年79歳

遺体が発見される前日の最後の日記。「四月廿九日。祭日。陰(※「くもり」のこと)。」
『文豪の死に様』(門賀美央子)

「発見時、部屋は不潔で乱雑、誰にも看取られずに逝去したことから、世間は「これ以上侘しい死はない」と、憐憫と侮蔑の目で老文士を見た。しかし、本書は、永井にとってみれば、満足な死だったと考える。現代に戻って2年前の2018年、独立行政法人経済産業研究所は、あるアンケートを行った。それによれば、日本人の幸福感に与える影響力は、所得や学歴よりも「自己決定」ができるかどうかによるという。嫌なことはしない、好きな人だけと付き合う、仕事も自分で選ぶ、気に入ったものだけを手元に置き、嫌になったらさっさと捨てる。そんな永井が自分を不幸な身だと感じたはずがなかった、というのだ。永井は「ぽっくりと死にますぜ」と周囲に宣言しており、本当にそのとおりになった。絶筆は、遺体が見つかる前日に見つかった日記の一行。」

2022.8.30
#今日という日をデザインする
#シンプルライフ

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